アロマテラピー図鑑

オイルとハーブの基本がすべてわかる!エッセンシャルオイル106種、ベースオイル25種、ブレンドレシピ、アロマテラピーの基礎

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ティートリー

○ティートリー(Tea tree(Ti-tree))

 「ティー」という名前ではありますが実際は「お茶の木」ではありません。離れたところからでもわかるほど、強く香りを放つ植物です。

 世界の多くの地域の人々がティートリーをただの樹木だと思っていたとき、すでにオーストラリアの先住民族たちはこの植物の効能を知っていました。彼らはこの木の葉を利用して感染症の傷を治していたのです。

 1927年頃にはヨーロッパにも持ち込まれ、この精油に殺菌や消毒の効果と免疫を高める効果があることから医薬品が手に入らない場合に使われていました。第二次世界大戦中には熱帯地方の軍隊や軍需工場で傷を手当するために救急用品に加えられていました。

 アロマテラピーに用いられるようになったのは近年だとされています。

学 名:Melaleuca alternifolia

科 名:フトモモ科

主な産地:オーストラリア、ジンバブエ

採油方法:葉の水蒸気蒸留法

揮発度:トップノート

香りの強さ:強

作 用:強心、去痰、抗ウイルス、抗感染、殺菌、刹真菌、殺虫、刺激、粘液過多治療、発汗、瘢痕形成

主な成分:モノテルペン炭化水素類のγテルピネン、αピネン、ミルセン、パラシメン、モノテルペンアルコール類のテルピネン-4-オール酸化物類の1.8シネオール

相性のいい精油:オレンジスイート、サイプレス、マンダリン、ユーカリ、ラベンダー、レモン、ローズマリー

◎心への働き

1.傷ついた心をいやし、リフレッシュさせる

◎体への働き

1.気管支系の痛みや炎症をやわらげる

2.感染症を防ぐ

◎肌への働き

1.やけつど、日焼けによる炎症をしずめる

2.ニキビ、虫さされ、切り傷の治りを促す

使い方:すり傷、切り傷用のクリームに使う

★使用上の注意

1.精油全般にいえる安全な使い方を守る

チュベローズ

○チュベローズ(Tuberose)

 チュベローズという名前の植物ですが、ローズ(バラ)とはまったく関係がないリュウゼツラン科です。和名は月下香(げっかこう)といいます。

 この名の通り、月夜の晩に咲いた花の香りが最もすばらしいとされており、摘んだあともしばらくは芳醇な香りを残すため、切花やレイによく使われます。また、精油はフローラル系の中で、1、2を争う優雅で魅力的な香りを放つといわれています。

 1920年代頃には、フランスの香水の産地として有名なグラースで250万本も栽培され、75トンもの花が収穫されていました。チュベローズは採油が非常に難しく、花1トンから1kgほどと採油量も少ないことから、天然精油としてはとても貴重なものとされています。

学 名:Polianthes tuberose

科 名:リュウゼツラン科

主な産地:中央アメリカ、モロッコ、エジプト、インド、台湾

採油方法:花の溶剤抽出法(アブソリュート)、水蒸気蒸留法

揮発度:トップノート

香りの強さ:中から強め

作 用:皮膚軟化、麻酔

主な成分:モノテルペンアルコール類のゲラニオール、ネロール、ラクトン類

相性のいい精油:ローズ、カーネーションネロリ、イランイラン

◎心への働き

1.気持ちを前向きにし、明るい気分にさせる

2.頭脳を明晰にさせる

◎肌への働き

1.肌荒れを防ぐ

使い方:フレグランスに

★使用上の注意

1.わずかに毒性があるため、長期間の使用や大量の使用は避ける

チャンパカ

○チャンパカ(Champaca)

 チャンパカの花は、インドでは神と富の象徴といわれ、バリ島では神々にささげる神聖なものとされています。

 インドネシアバリ島では昔から娘を持つ両親の願いをあらわして「色は華やかでも香りのしないハイビスカスよりは、目立たなくてもうっとりするような芳香(心)を持つチャンパカの花のように育って欲しい」といわれるそうです。

 和名は金香木(きんこうぼく)。媚薬のような深い甘さを感じる、暖かなエキゾチックフローラル調の香りが特徴の精油は恐怖心を取り除き、リラックスさせる効果があるのでマッサージに最適です。

 インドや中国では樹皮を解熱剤として、根をおできの治療に、花を腎臓病や目の炎症治療などに使っています。

学 名:Michelia champaca

科 名:モクレン

主な産地:インド、インドネシア、フィリピン

採油方法:花の溶剤抽出法(アブソリュート

揮発度:トップ~ミドルノー

香りの強さ:強

作 用:刺激、強壮、去痰、収れん、解熱

主な成分:酸化物質類のシス・リナロールオキサイド、フェノール類のオイゲノール、モノテルペンアルコール類のリナロール、エステル類の酢酸ベンジル、セスキテルペンアルコール類のネロリドール

相性のいい精油ネロリ、ジャスミン、イランイラン、ローズ

◎心への働き

1.気持ちを落ち着させ、リラックスさせる

◎体への働き

1.頭痛をやわらげる

◎肌への働き

1.肌荒れを防ぐ

使い方:フレグランスに

★使用上の注意

1.香りが強いので使用量に注意する

タンジェリン

○タンジェリン(Tangerine)

 タンジェリンの皮の精油です。中国からヨーロッパを経て、アメリカへ導入されたタンジェリンは、植物学的にはマンダリンと同じ種類に属しています。

 しかし果実の収穫時期はマンダリンよりタンジェリンがおよそ3ヶ月ほど早く、果皮の色味もマンダリンが黄色、タンジェリンが濃いオレンジ色といくつもの違いがあります。

 芳香も非常によく似ていますが、タンジェリンのほうがマンダリンより若干弱めで微妙なニュアンスを持つ香りです。ビタミンCの含有量が非常に多く、効能はスイートオレンジ精油ともよく似てます。

 妊娠線(急激に体重が増えたり、妊娠すると皮膚に出てくる伸展線)や脂肪の解消に効果があることから、妊婦にも人気の精油です。

学 名:Citrus reticulata Blanco var.tangerine

科 名:ミカン科

主な産地:アメリカ、シチリア島(イタリア)

採油方法:果皮の圧搾法

揮発度:トップノート

香りの強さ:中

作 用:強壮、健胃、細胞成長促進、殺菌、鎮痙、鎮静、皮膚軟化

主な成分:モノテルペンアルコール類のシトロネロール、リナロール、アルデヒド類のシトラール、セスキテルペン炭化水素類のカジネン、モノテルペン炭化水素類のリモネン

相性のいい精油カモミール、クラリセージ、ゼラニウム、ローズ、ベルガモット、ラベンダー、レモン

◎心への働き

1.安らかな眠りを促す

2.ストレスをやわらげ、緊張をほぐす

◎体への働き

1.便秘や下痢の症状をやわらげる

◎肌への働き

1.皮下脂肪をもやし、痩身に役立つ

2.妊娠線を目立たなくさせる

使い方:スキンケアのためのマッサージに

★使用上の注意

1.光毒性があるため、使用後は直射日光を避ける

タラゴン

タラゴン(Tarragon)

 神話ではギリシャの狩りと出産の女神・アルテミスにちなんでアルテミシアと名づけられたとされている植物です。

 タラゴンはスペインを征服したムーア人によってこの地に持ち込まれ、16世紀にはイギリスでも広く知られるようになったという説もあります。日本名はカワラヨモギです。

 ビタミンAとCが豊富に含まれていることから、昔は壊血病の薬として用いられ、さらには歯痛緩和やヘビ・狂犬のかみ傷をいやすのにも用いられていたようです。

 現在ではフランス料理によく使われるハーブのひとつとして有名で、タラゴンビネガーもポピュラーですし、タルタルソースにも入っています。

 また、フランスではエストラゴンとも呼ばれ、香水の成分としてもその名を見ることができます。

学 名:Artemisia dracunculus

科 名:キク科

主な産地:イタリア、フランス、スペイン

採油方法:全草の水蒸気蒸留法

揮発度:ベースノート

香りの強さ:中から強め

作 用:緩下、駆中、駆風、健胃、抗リウマチ、刺激、消化促進、殺菌、食欲増進、鎮痙、通経、利尿

主な成分:フェノールメチルエーテル類のチャビコールメチル、エーテルモノテルペン炭化水素類のtrans-オシメン、酸化物類の1.8シネオール

相性のいい精油:アンジェリカルート、カモミール、クラリセージ、ジュニパー、パインニードル、バーベナ、マンダリン、ライム、ラベンダー、ローズウッド

◎心への働き

1.元気に活発にさせる

◎体への働き

1.利尿作用を促す

2.筋肉の痛み、月経痛をやわらげる

使い方:痛みを鎮めるボディオイルとして使う

★使用上の注意

1.刺激が強いので、使用量に十分注意する

タジェット

○タジェット(Taget)

 フランスでは「フレンチ科ではマリーゴールド」と呼ばれ、香水の原料として使われているタジェットの花の精油です。また、かつてのアフリカでは「カキブシュ」と名で知られていました。

 タジェットには非常に効果的な殺虫作用があるとされ、アフリカではハエの群れを寄せ付けないために、小屋に吊り下げたり、作物を害虫から守るためにトマト、ジャガイモ、バラなどのそばに一緒に植えたりしていました。

 さらに傷口にたかるウジを殺す軟膏にしたり、根と種子は体内の毒素を出す下剤として使ったりしたこともあったとされています。

 これらの殺菌力、抗微生物作用は現在でもこの精油の大きな特徴です。

学 名:Tagetes minuta

科 名:キク科

主な産地:フランス、オーストラリア

採油方法:花の水蒸気蒸留法

揮発度:ミドル~ベースノート

香りの強さ:強

作 用:血圧効果、抗微生物、細胞成長促進、殺真菌、殺虫、抗炎症、殺菌、鎮痙、鎮静、皮膚軟化

主な成分:モノテルペン炭化水素類のオシメン、ケトン類のタジェトン

相性のいい精油:イランイラン、オレンジスイート、カモミール、これアンダー、サンダルウッド、ゼラニウム、タンジェリン、ティートリー、フランキンセンス、リンデン、ラベンダー、レモン

◎心への働き

1.意識をクリアにし、緊張をほぐす

◎体への働き

1.蚊やハエなどの虫から皮膚を守る

2.感染症を防ぐ

◎肌への働き

1.切り傷の治りを促す

使い方:専門家の処方のみにて使用

★使用上の注意

1.非常に強力な精油なので、使用には十分注意する

2.光毒性があるので、使用後は直射日光を避ける

タイム・リナロール

○タイム・リナロール(Thyme linalol)

 トロイアヘレネーが流した涙から生まれたという神話を持つハーブの精油です。

 タイムという言葉はギリシャ語で「香らせる」という意味の「チュモス」からきています。その名のとおり、古くからお香や香水のもととして使われてきました。

 また、古代エジプト人はこの植物の強力な腐敗防止効果に着目し、ミイラの防腐保存に用いています。殺菌作用も強く、中世のヨーロッパにおいてすでに感染症予防に使われていたという記録があります。

 タイムには同じ学名でも生育状態によってさまざまな種類があり、その中のリナロール種は比較的はたらきが穏やかだといわれています。

学 名:Thymus vulgaris

科 名:シソ科

主な産地:フランス、イギリス、アメリカ

採油方法:全草の水蒸気蒸留法

揮発度:トップ~ミドルノー

香りの強さ:強

作 用:去痰、駆中、駆風、血圧上昇、抗毒、殺菌、殺虫、食欲増進、鎮咳、鎮痙、通経、瘢痕形成、腐敗防止

主な成分:モノテルペンアルコール類のリナロール、モノテルペン炭化水素類のパラシメン、αピネン、セスキテルペン炭化水素類のβカリオフィレン、フェノール類のカルバクロール、フェノール類のチモール、テルピノレン

相性のいい精油カモミール、ティートリー、ニアウリ、ベルガモット、マンダリン、レモン、ローズマリー

◎心への働き

1.不眠を改善させる

◎体への働き

1.関節の痛みをやわらげる

2.月経を正常化させる

◎肌への働き

1.むくみを取り、肌に明るさを取り戻す

使い方:シミを目立たなくするためのクリームとして使う

★使用上の注意

1.皮膚への刺激が強いので、使用量に注意する