アロマテラピー図鑑

オイルとハーブの基本がすべてわかる!エッセンシャルオイル106種、ベースオイル25種、ブレンドレシピ、アロマテラピーの基礎

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バイオレットリーフ

○バイオレットリーフ(Violetleaf)

 スミレの葉から採取される精油です。

 緑葉から生まれたオゾンたっぷりの香りは、不眠を克服し、怒りと不安の感情をしずめる力を持っています。また、催淫効果もあり性的障害に役立ち、性衝動を回復させると古くから言い伝えられてきました。二日酔いにも有効とされています。

 スミレの花は日本にも多種生息していますが、精油に使われるのはフランスやエジプトなどの国のものが多くなっています。

 スミレは16世紀にイタリア人によってフランスにもたらされました。当時は、呼吸器疾患を治療するための塗り薬に混ぜて使用されていました。

 また、花びらを砂糖のシロップやハチミツにつけて食べると体によいと信じられていました。

学 名:Violet odorata

科 名:スミレ科

主な産地:エジプト、フランス、イタリア、北アメリカ、中国

採油方法:葉の溶剤抽出法(アブソリュート

揮発度:ミドルノー

香りの強さ:中から強め

作 用:抗炎症、利尿、鎮静、殺菌

主な成分:フェノール類のオイゲノール、ケトン類のパルモン、アルコール類のベンジルアルコール、スミレ葉アルコール、アルデヒド類のスミレ葉アルデヒド

相性のいい精油:イランイラン、オレンジスイート、グレープフルーツ、サンダルウッド、シトロネラ、ジャスミン、スペアミントネロリフランキンセンス、ペパーミント、ベンゾイン、ミモザ、ラベンダー、レモン

◎心への働き

1.不眠症を改善する

2.不安や怒りといったマイナスの感情をしずめる

◎体への働き

1.頭痛や二日酔いの症状をやわらげる

2.性的障害を克服する催淫作用を促す

◎肌への働き

1.炎症によるかゆみや赤みを抑える

2.アトピーなどアレルギー症状をやわらげる

使い方:フレグランスに最適

★使用上の注意

1.香りが強いので、ごく低濃度で用いる

バーチ

○バーチ(Birch:別名カバノキ)

 カバノキの樹皮から採取される精油です。

 この木は何世紀もの間、樹液から薬用ワインが作られたり、口の中に出た炎症の治療によく効くうがい剤に利用されたりしていることからも、殺菌作用が期待できる精油です。

 また、葉も利尿作用のあるお茶として利用され、その収れん作用から、スキンローションや塗布剤の成分としても使われています。

 以前、ロシアで製造されていたバーチタール油は、皮革や石けんの製造に用いられ、関節の痛み、痛風や各種皮膚感染症にも役立てられていました。また、ドイツではヘアトニックの成分のひとつとして使用されていたようです。

 バーチの主要成分、サリチル酸メチルは鎮痛剤アスピリンの原料になります。

学 名:Betula alleghaniensis B.pendula

科 名:カバノキ科

主な産地:アメリカ、ロシア、オランダ、ドイツ

採油方法:樹皮と小枝の水蒸気蒸留法

揮発度:ミドルノー

香りの強さ:中

作 用:強壮、殺菌、殺虫、殺微生物、収れん、浄血、鎮痛、利尿

主な成分:エステル類のサリチル酸メチル、セスキテルペン類のベツレン、ベツレノール

相性のいい精油:オレンジスイート、カモミール、カユプテ、ジンジャー、フランキンセンス、ラベンダー、レモン

◎心への働き

1.元気づけ、気持ちを明るく盛りあげる

◎体への働き

1.利尿作用を促し老廃物を除去し、膀胱炎の痛みをやわらげる

2.関節や筋肉の痛みをやわらげる

◎肌への働き

1.しっしんや皮膚のはれの治りを促す

使い方:マッサージオイルに。筋肉痛などの痛みを軽くする

★使用上の注意

1.刺激が強いので、使用量に注意する

2.スイートバーチ(B.lente)はアロマテラピーには使用しないこと

ネロリ

ネロリ(Neroli)

 甘いビターオレンジの香りが女性の心をとらえる精油です。ネロリの名は、イタリアのレロラ公国伯爵夫人、アンネ・マリー・ネロリが愛用したことに由来しています。

 ビター・オレンジの花は長い間、純潔を象徴するとともに、永遠の誓いの印と考えられ、花嫁のブーケに使われてきました。この精油はほんの少量抽出するのに大量の花が必要になるため、大変高価です。

 採油するときに同時にできるオレンジフラワーウォーターは、スキンケア用化粧品やオーデコロンの成分としてよく使われるほか、東欧の多くの料理の材料として人気があります。また、古来より、人々を幸福に導く香りとしても知られています。

 催淫効果も有名で、セクシーな気分にさせるといわれます。

学 名:Citrus aurantium

科 名:ミカン科

主な産地:エジプト、フランス、モロッコ、イタリア

採油方法:花の水蒸気蒸留法

揮発度:ミドルノー

香りの強さ:強

作 用:強心、強壮、催淫、鎮痙、鎮静、細胞促進、消臭、皮膚軟化、殺菌

主な成分:モノテルペンアルコール類のリナロール、ゲラニオール、エステル類の酢酸リナリル、モノテルペン炭化水素類のリモネン、αテルピネン、セスキテルペンアルコール類のネロリドール

相性のいい精油:イランイラン、オレンジスイート、コリアンダー、サンダルウッド、ジャスミン、ゼラニウム、ローズ、パルマローザ、プチグレイン、ベルガモット、ライム、ラベンダー、ローズマリー

◎心への働き

1.不安、緊張をほぐし、気持ちを落ち着ける。

2.交感神経をしずめ、不眠症を改善する

◎体への働き

1.下痢を止める

2.血行をよくし、催淫効果がある

◎肌への働き

1.肌に弾力を与える

2.しわやたるみを防ぐ

★使用上の注意

1.精油全般にいえる安全な使い方を

ニアウリ

○ニアウリ(Niaouli)

 カユプテと同じ仲間で、ティートリーと見た目が似た植物です。効能効果もティートリーとよく似ています。

 繁殖方法がユニークで、種子は山火事などの火力によってさやをはじき飛ばし、種子を放出します。

 この精油を「ゴメノール」と呼ぶフランスでは、パワフルな殺菌消毒剤として価値があると考えられ、以前は病院で使用していました。中東地方では飲料として用いられていたこともあります。

 ニアウリ油が蒸留されているニューカレドニアでは、空気が清浄でマラリアが発生しないのはこの樹木が生育しているからといわれています。

 また、最近では免疫力を助ける作用が高く評価され、さまざまな研究がなされている精油として注目されています。

学 名:Melaleuca viridiflora

科 名:フトモモ科

主な産地:マダガスカル、オーストラリア、ニューカレドニア

採油方法:葉の水蒸気蒸留法

揮発度:ミドル~トップノート

香りの強さ:強

作 用:駆中、解熱、抗リウマチ、殺菌、殺虫、刺激、鎮痛、粘液過多治療、瘢痕形成、鼻粘膜排出、癒傷

主な成分:酸化物類のネロリドール、ビリディフロール、モノテルペンアルコール類のαテルピネオール、セスキテルペン炭化水素類のβカリオフィレン

相性のいい精油:オレンジスイート、ペパーミント、ライム、ラベンダー、レモン、ローズマリー

◎心への働き

1.頭脳明晰にさせ、集中力を高める

2.憂うつな気分をやわらげる

◎体への働き

1.呼吸器系の痛みや炎症をやわらげる

2.関節の痛みをやわらげる

◎肌への働き

1.ニキビや吹き出物、水虫の治りを促す

使い方:風邪のときの芳香浴に使う

★使用上の注意

1.妊婦は使用量に注意する

ナルデ

○ナルデ(Spikenard:別名/スパイクナード)

 ヒマラヤ産のハーブの根からとれる精油です。

 「マリアは非常に高価な、純粋なナルドの香油300gを取ってイエスの足に塗り、彼女の毛でイエスの足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった」(ヨハネ福音書12章3節)。

 このように聖書にも登場するナルデは、古くから多くの人々に親しまれてきた香りです。別名、甘松香(かんしょうこう)とも呼ばれます。

 セイヨウカノコソウと近い種類で、ジャコウに苦味を足したような、独特の芳香です。ヒマラヤの限られた地域だけに自生していたことから非常に珍重され、特に古代ローマの女性たちには好まれていたようです。

 ナルデはベースノートの中でも、一番効果が出やすいといわれる精油です。

学 名:Nardostachys jatamansi

科 名:オミナエシ

主な産地:インド、ネパール

採油方法:根の水蒸気蒸留法

揮発度:ベースノート

香りの強さ:強

作 用:うっ滞除去、抗炎症、抗ウイルス、抗菌、駆虫、精神安定、神経鎮静

主な成分:モノテルペン炭化水素類のカラレン、アリストレン、セスキテルペン炭化水素類のアローアロマデンドレン、セスキテルペンアルコール類のバレリアノール、スパスレノール

相性のいい精油:ベンゾイン、フランキンセンス、イランイラン、バレリアン、ミルラ

◎心への働き

1.緊張をほぐし、ストレスを解消する

2.イライラをしずめ、不眠症を改善する

◎体への働き

1.せき、声がれなどの呼吸器系の症状をやわらげる

2.食欲を増進させる

◎肌への働き

1.肌の炎症をしずめる

使い方:フレグランスに

★使用上の注意

1.精油全般にいえる安全な使い方を守る

ナツメグ

ナツメグ(Nutmeg)

 スパイスとしておなじみのナツメグは、雌雄1本で雌株20本に受粉させることができるという、生命力豊かな樹木です。

 ナツメグは、古くから世界のさまざまな文明社会でとても尊重されていました。中正には痔疾の治療薬や健胃剤として、インドでは腸の不調を治すのに使われ、エジプト人はミイラの防腐保存に用いました。

 また、イタリアではローレル、クローブ、ジュニパー、ミルラ(没薬)、マートル、バラと合わせて薫香にし、悪疫から人々を守る目的で使われていました。

 ポルトガル人がナツメグの貿易を1605年まで独占していたことからもこのスパイスの重要性がわかります。

 今では肉料理の香味づけ、リキュール、歯科用治療剤、食品の香料、ヘアローションの成分などにも日常的に使われています。日本ではニクズクと呼ばれています。

学 名:Myristica fragrans

科 名:ニクズク科

主な産地:ペナン、ジャワ、西インド諸島スリランカ

採油方法:種子の水蒸気蒸留法

揮発度:トップノート

香りの強さ:強

作 用:緩下、強心、強壮駆風、健胃、催淫、刺激、歯痛緩和、殺菌、制吐、鎮痙、鎮痛、通経、分娩促進

主な成分:モノテルペン炭化水素類のαピネン、サビネン、βピネン、リモネン、フェノールメチルエーテル類のミリスチシン、モノテルペンアルコール類のテルピネン4-オール

相性のいい精油:オレンジスイート、ガルバナム、クローブ、サイプレス、シナモンリーフ、ティートリー、レモン

◎心への働き

1.元気に活発にさせる

2.意識をクリアにさせる

◎体への働き

1.消化を助け、食欲を増進させる

2.腸内ガスを排出させ、便秘の症状をやわらげる

◎肌への働き

1.頭皮、毛髪を整える

使い方:フレグランスに

★使用上の注意

1.刺激が強いので、使用には十分注意する

2.妊婦には使用しない

ディル

○ディル(Dill)

 パラソルのような小花が可愛いデイルの種子からとれる精油です。およそ5000年前のエジプトではディルとコリアンダー、ブリオニアと混ぜて頭痛をやわらげるのに使用しました。

 812年、西ローマ帝国の皇帝シャルルマーニュはディルを積極的に栽培するよう領地に命令を出したとされます。

 この植物はギリシャ人とローマ人に広く使われ、ローマ人は「アネトン」と呼んでいました。このことから今の学術名がつけられています。ディルという名前は古いアングロサクソン語の「ディレ」、「ディラ」からきた言葉で、これが中世になって「ディル(鎮める、やわらげるの意味)」に変化しました。

 現在では魚料理、パン、スープ、キュウリのピクルスなどによく使われています。

学 名:Anethum graveolens

科 名:セリ科

主な産地:地中海地方、ヨーロッパ、黒海地方

採油方法:種子の水蒸気蒸留法

揮発度:トップノート

香りの強さ:弱

作 用:駆風、健胃、催淫、催乳、殺菌、刹微生物、消化促進、鎮痙、鎮静、発汗、分娩促進

主な成分:モノテルペン炭化水素類のαフェランドレン、リモネン、ケトン類のdカルボン

相性のいい精油:オレンジスイート、コリアンダー、サイプレス、ゼラニウム、プチグレン、ベルガモット、マートル、マンダリン、ローズマリー

◎心への働き

1.意識をクリアにし、頭脳を明晰にさせる

◎体への働き

1.便秘の症状をやわらげる

2.口臭を消す

使い方:フレグランスに

★使用上の注意

1.子ども、妊婦、授乳中の人は使用しない